御立願ぶち(ごりゅうがんぶち) 川上地域

 

 

御立願ぶち

 

川上部落の南の端に宇平谷(うへいたに)という谷があります。

 

この谷は、竜宮ぶちとも呼ばれ、竜宮に通じているともいわれています。

 

このふちの主は、竜神とされています。

 

 

ある年、突然、領主様がこの土地を見回りに来ることになりました。

 

さて困った事にはその時に領主様に出すようなぜんやわんがありません。

 

そこで村人は、寄り合って相談いたしました。

 

その結果、竜宮ぶちの竜神さまに千遍のお念仏を唱えてお願いすることに決まりました。

 

 

村人たちは、ふちの岸に集って、一生けん命でお念仏をとなえていのりました。

 

すると、願いがかなって、竜神様から、りっぱなおぜんとおわんを借り、無事に領主様をもてなすことができました。

 

村人たちのよろこびは、ひととおりではありません。

 

竜神を祭り、村をあげて参けいをするようになりました。

 

それから後も、たびたびお願いして、ことあることに、おぜん、おわんを借り、不自由なくすごしていました。

 

それからというもの、だれ言うこともなく、この竜宮ぶちを、

 

「御立願(ごりゅうがん)ぶち」(願いがかなうというふち)と呼ぶようになったということです。

 

 

ある時、借りたおわんを、一つこわしてしまいました。

 

そして、一つ不足したままお返ししたのです。

 

竜神のいかりにふれたのでしょうか。

 

それからというもの、何度おねがいしてももう、それはかなわなくなってしまったということです。

 

 

(「ふるさと春野の伝説」より一部引用)