京丸ぼたんの伝説(小俣京丸)

 

 

ぼたん姫

 

昔、いつのころか、京丸の里に気品のある若い旅人が迷いこんでまいりました。

 

里長(さとおさ)の家にやっかいになっているうちに、その家のぼたん姫という気だての優しい、

 

美しい娘さんと、とても親しくなりました。

 

 

しかし、ここの里のきまりでは、他国の見知らぬ旅人と親しくすることは、いろいろな理由で許されません。

 

そのうちに、この二人の姿はいつのまにか京丸から見られなくなりました。

 

あとのうわさでは、気田川に二人で身を投げたとも言われています。

 

 

それ以来、二人の命日が近づくと、ぼたんの花びらが散って、どこからともなく流れて、

 

川の瀬に浮かぶのを村人が見うけたということです。

 

 

(「ふるさと春野の伝説」より)

 

 

 

 

幻の花 「京丸牡丹」

 

ふるさと春野には数多い伝説が今でも語り伝えられています。

 

が、京丸牡丹伝説は最も美しい伝えです。

 

 

むかし、いつごろよりか秘境京丸谷の中腹に六十年に一度傘大の白い牡丹の花が咲き、

 

その幹は二かかえも三かかえもあるとも伝えられています。

 

 

この谷は大変険しくて人の近よれない場所で、その花をみとどけた人は、かつてないので幻しの花なぞといわれます。